2026.01.27
2026.01.29

こんにちは。
本日は、トレーニング・カンパニー事業本部 セールスイネーブルメントチームの中野 貴仁さんに次世代リーダー育成に関するお悩みについてお話を伺いました。
本記事では、なぜ今次世代リーダーが育ちにくいのか、なぜそれでも組織が回ってしまうのか
そして、3年後・5年後もリーダーが育ち続けるために何が必要なのか、時代背景とあわせて整理していきます。
長谷川:はじめに、「次世代リーダーが育たない」という声について、どのように感じていますか?
中野:企業の方とお話しする中で、本当に頻繁に耳にする言葉です。
こうした悩みは、特定の業界や企業規模に限らず、広く共通した課題だと感じています。
長谷川:課題は感じつつも、組織自体は大きな問題なく回っている企業も多い印象ですよね。
中野:その通りです。「課題は感じているが、今すぐ困っているわけではない」という状態の企業は少なくありません。
業績は一定水準を保ち、現場も日々の業務をこなしている。だからこそ、次世代リーダー育成は「重要だが緊急ではないテーマ」として、後回しにされやすくなります。
しかし、この“回っているように見える状態”こそが、育成課題を見えにくくしている要因だと考えています。
長谷川:では、なぜ今の時代は「次世代リーダーが育ちにくい」と言われるようになったのでしょうか?
中野:背景には、いくつかの時代的な変化が重なっています。大きく分 けると、3つの要因があると考えています。
少し前までは、年功序列を前提とした組織が主流でした。
・年次を重ねれば、自然と役職に就ける
・役職に就くまでには十分な時間があり、日々の業務を通じて少しずつ身につけていた
その過程で仕事の進め方や人との向き合い方、マネジメントや育成を、あらためて体系的に学ばなくても、
「上司の背中を見て学ぶ」ことで、ある程度は通用していました。
なぜそれで回っていたのかというと、
10年、20年という長い時間をかけて人が育つことが前提だったからです。
多少の失敗があっても、未熟な時期があっても、時間をかけて経験を積めば、結果的に帳尻が合う。
時間そのものが、育成の機能を担っていた時代だったと言えると思います。
当時は、それで大きな問題が表面化しにくかったのも事実です。
一社に勤め上げることが成功モデルではなくなり、
社会情勢の変化も重なって、企業の将来そのものが見通しにくくなっています。
VUCA※注1やBANI※注2と言われる社会や企業の先行きが読みにくく、個人が「この環境で成長できているか」を常に問われる代の中で、 求職者側の選択肢は増え1〜2年働いても成長実感が得られなければ、環境を変えることも容易になりました。
一方で、現在の管理職世代の多くは、
「教え方」や「育成方法」を体系的に学ぶより、
経験の中で 育ってきた世代でもあります。
決して、本人たちが悪いわけではなく、人が育つ環境が変わったのです。
若手社員から見ると、年齢も価値観も離れ、働き方や人生観も異なる。
「この人のようになりたい」
「この人に育ててもらえそうだ」
そう感じにくく、ミスマッチになっているケースが増えているのも事実です。
結果として、今の環境では成長できないと感じた若手が別の環境を選ぶ。
その流れが、構造的に生まれています。
さらに言えば、管理職という役割そのものの魅力も以前より下がったように見えてしまっています。
・責任は重くなる
・業務量は増える
一方で、報酬や裁量の差はそれほど大きくないように見えることが増えている
上司の働き方を間近で見て、
・同じ給料なら、管理職にならないほうがいい
・責任を背負うより、専門性を高めたほうが合理的だ
そう感じる人がいても、不思議ではありません。
選択肢が多い時代だからこそ、無理に管理職を目指す理由が見えにくくなっているのです。
加えて、転職が当たり前になる中で優秀な人材ほど外に出ていく。
結果として、次世代のリーダー候補となる母数そのものが減っている。
こうした要因が、同時に重なっています。
関連記事長谷川:それでも、多くの組織が“なんとなく回っている”のはなぜなのでしょうか?
中野:多くの場合、その状態は「偶然」に支えられています。
たとえば、
・たまたまマネジメント意識の高い上司がいた
・たまたま主体的に学ぶ優秀な若手がいた
・経験豊富な管理職が現場を踏ん張って支えていた
こうした要素が重なった結果、「育っているように見えている」「組織が回っているように見えている」 という状態が生まれているケースは少なくありません。
ここまで読むと、 「確かに環境は変わっているけれど、今すぐ困っているわけではない」 そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実際、多くの企業では 「次世代リーダーが育っていない」と感じながらも、 組織そのものは大きな混乱なく回っています。
業績は一定水準を保ち、現場も日々の業務をこなしている。
だからこそ、次世代リーダー育成は 「重要ではあるが、緊急性は高くないテーマ」として、 後回しにされやすくなります。
しかし、この回っているように見える状態こそが、 育成の課題を見えにくくしている要因でもあるのです。
長谷川:偶然に頼る育成には、どのようなリスクがあるのでしょうか?
中野 : 最大のリスクは、再現性がないことです。
ある上司のチームではうまくいっている。
しかし、別の上司のチームではそうではない。
その上司が異動したり、退職したりすれば それまで回っていた状態が、簡単に崩れてしまうこともあります。
また、良い上司のもとで育った人材が、「なぜ自分は育ったのか」を言語化できないまま 次の世代を育てようとすると、同じことを再現できません。
結果として、次の世代で育成につまずいてしまうケースも少なくありません。
偶然に支えられた育成は、 一見うまくいっているように見えるからこそリスクが表に出にくいのが特徴です。
「会社そのもの」ではなく 「その上司」が理由で頑張れていた場合、 異動や組織変更をきっかけに モチベーションが下がることもあります。
こうした状態が続くと短期的には問題がなく見えても、中長期的には確実に組織の足腰を弱らせていきます。
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長谷川:属人化から抜け出すためには、何が必要なのでしょうか?
中野 :大きく分けて、2つのポイントがあります。

最初に必要なのは、「どんなリーダーを求めているのか」を明確にすることです。
・役職名や年次ではなく、その立場でどんな役割を果たしてほしいのか
・どんな判断基準を持ち、何を大切にしてほしいのか
それを言語化することは、評価制度を整えるためだけではありません。
社員一人一人がどこに向かっているかを把握するためにも大切です。
育成の話をすると、「忙しくて、そこまで手が回らない」という声もよく聞きます。
ただ、忙しくない企業は存在しません。
だからこそ、忙しくても学ばざるを得ない、学ぶ意味を実感できる仕組みが必要になります。
・次世代リーダーに求める人物像・スキルの整理と、連動した育成プログラム
・挑戦した人を評価するしくみ
・個人の課題・キャリアと育成ステップの結びつき
・上位層が率先して学ぶ
やり方は企業ごとに異なりますが、共通して重要なのは、「学ぶ理由」をつくることです。
学ぶことが「余裕がある人がやるもの」ではなく、「業務の一部」として位置づけられたとき初めて育成は継続可能になります。
長谷川:なるほど、自社が求める明確なリーダー像×学ぶ意味を実感できる仕組みを、各企業にあうやり方で整えることが大事なんですね!
次世代リーダーが育たない背景には、個人の資質や努力だけでは片付けられない、構造的な課題が存在しています。
偶然に頼る育成から、意図的につくる育成へ。
誰が上司になっても、どの部署でも、一定の水準で人が育つ状態を目指す。
そのための仕組みづくりに向き合うことが、これからの組織には求められているのではないでしょうか。
※注1VUCAとは、
※注2BANIとは、VUCAを一段階進めた概念


この記事を書いたコンサルタント

中野 貴仁
(株式会社FCE)
2020年にFCEへ新卒入社。学校向けの教育事業に携わった後、企業向けに研修、コンサルティング事業を行うFCEトレーニング・カンパニーへ異動。 人材育成プラットフォームSmart Boardingのセールスに従事し、2年目にチームリーダーへ昇格。 現在はプレイングマネージャーとしてチームを持ち、営業戦略や分析、マネジメントに従事。
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株式会社FCE
(編集部)
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